登記簿謄本オンライン取得(PDF、郵送請求)方法 2025.11.19不動産の売買、相続、会社の設立、あるいは融資の申請など、人生の節目やビジネスの現場で必ずと言っていいほど必要になる書類、それが「登記簿謄本(登記事項証明書)」です。「法務局は平日しか開いていないし、わざわざ行くのは面倒…」 「手数料を少しでも安く抑えたい」 「今すぐ内容だけ確認したい」もしあなたがそう思っているなら、この記事はあなたのためのものです。実は、登記簿謄本はわざわざ法務局の窓口に行かなくても、自宅や会社のパソコン、あるいはスマートフォンから簡単に取得することができます。しかも、窓口で取得するより手数料が安くなるケースも多いのです。しかし、いざ「ネットで取得」と検索してみると、「登記情報提供サービス」や「登記・供託オンライン申請システム」など、似たようなサイトが出てきて混乱してしまう方が後を絶ちません。「PDFで見たいだけなのに、間違えて郵送請求してしまった」 「銀行に出す正式な書類が必要なのに、認証のないPDFを取ってしまった」こうした失敗を防ぐため、本コラムでは登記簿謄本のオンライン取得に関する「2つのルート」を明確にし、それぞれの具体的な操作手順、メリット・デメリット、そして最大の難関である「地番」の調べ方まで、1万文字規模の熱量で徹底的に解説します。これを読めば、もう登記簿取得で迷うことはありません。目次1 第1章:まずはここから!オンライン取得には「2つの種類」がある1.1 1. 【閲覧用】「登記情報提供サービス」1.2 2. 【証明書用】「登記・供託オンライン申請システム」2 第2章:【パターンA】今すぐPDFで見たい!「登記情報提供サービス」の使い方2.1 1. 利用の準備(一時利用がおすすめ)2.2 2. 具体的な操作ステップ2.3 注意点3 第3章:【パターンB】正式な書類を郵送で!「かんたん証明書請求」の使い方3.1 1. 利用の準備3.2 2. 具体的な操作ステップ4 第4章:最大の落とし穴!「住居表示」と「地番」の違いを知ろう4.1 「地番」を調べる3つの方法5 第5章:登記簿謄本(登記事項証明書)の種類と読み方5.1 1. 謄本の種類5.2 2. 登記簿の構成(不動産の場合)6 第6章:法人の登記簿(履歴事項全部証明書)について6.1 法人登記簿で分かること6.2 オンライン取得のメリット(法人編)7 第7章:よくあるトラブルとQ&A7.1 Q1. マンションの部屋番号で検索しても出てこないのですが?7.2 Q2. 申請者IDやパスワードを忘れました。7.3 Q3. 領収書は発行されますか?7.4 Q4. 土日に申請して、月曜日の朝イチで受け取りたい。7.5 Q5. Macでも利用できますか?8 第8章:まとめ ~オンライン取得を使いこなそう~第1章:まずはここから!オンライン取得には「2つの種類」がある オンラインで登記情報を取得しようとする際、最も重要なのは「何のために必要なのか(提出先はどこか)」を明確にすることです。それによって、使うべきサイトと取得方法が全く異なるからです。大きく分けて、以下の2つのパターンがあります。1. 【閲覧用】「登記情報提供サービス」 形式: PDFファイルのダウンロード法的効力: なし(法務局の認証印がないため、公的な証明書としては使えません)用途: 社内での確認、契約前の事前調査、住所や所有者の確認、担保設定の有無の確認などメリット: 即座に見れる、最も安い(331円〜)デメリット: 銀行や役所への提出書類としては認められないことが多い2. 【証明書用】「登記・供託オンライン申請システム」 形式: 正式な紙の謄本(登記事項証明書)を郵送で受け取る法的効力: あり(窓口で取るものと全く同じ、法務局の印鑑付き)用途: 銀行融資、不動産売買契約、相続手続き、許認可申請などメリット: 窓口に行く必要がない、窓口より手数料が安い(480円〜)、平日夜間でも申請可能デメリット: 手元に届くまでに数日かかる(郵送のため)結論:「今すぐ中身を見たいだけ」なら 「登記情報提供サービス」「提出用の正式な紙が欲しい」なら 「登記・供託オンライン申請システム」この違いを理解した上で、それぞれの詳細な手順を見ていきましょう。第2章:【パターンA】今すぐPDFで見たい!「登記情報提供サービス」の使い方 「登記情報提供サービス」は、一般財団法人民事法務協会が運営するサイトです。インターネット上で登記情報をパソコン等の画面で確認できる有料サービスです。1. 利用の準備(一時利用がおすすめ) 頻繁に利用する不動産業者や司法書士でなければ、月額料金のかからない「一時利用」がおすすめです。必要なもの: クレジットカード利用可能時間: 平日 午前8時30分〜午後11時 / 土日祝 午前8時30分〜午後6時2. 具体的な操作ステップ STEP1:サイトへアクセス 「登記情報提供サービス」の公式サイト(https://www1.touki.or.jp/)にアクセスし、「一時利用」のボタンをクリックします。STEP2:利用者登録(その場限り) 利用規約に同意し、氏名、パスワード(自分で設定)、メールアドレスなどを入力します。登録などは不要で、その場のセッション限りで利用可能です。STEP3:ログインと検索種別の選択 設定したパスワードなどでログインすると、検索画面になります。不動産請求: 土地や建物の情報を取る場合商業・法人請求: 会社の情報を取る場合STEP4:検索(ここが最重要!) 不動産の場合、住所ではなく**「地番(ちばん)」や「家屋番号(かおくばんごう)」**で検索する必要があります。(※地番の調べ方は第4章で詳しく解説します)。 法人の場合、会社名や法人番号で検索します。STEP5:情報の選択 検索結果が表示されたら、必要な情報を選択します。全部事項: 過去の履歴も含めた全ての情報(通常はこちらを選びます)所有者事項: 現在の所有者の住所・氏名のみ(安価ですが情報は限定的です)地図・図面証明書: 公図や地積測量図などが必要な場合STEP6:決済とダウンロード 選択した情報をカートに入れ、クレジットカード情報を入力して決済します。決済が完了すると、即座にPDFファイルが表示・ダウンロード可能になります。注意点 取得したPDFには、「これは登記所が発行した証明書ではありません」といった文言や、照会番号が付記されます。あくまで「情報の閲覧」であることを理解しておきましょう。第3章:【パターンB】正式な書類を郵送で!「かんたん証明書請求」の使い方 銀行や役所に提出するために、法務局の印鑑が押された「登記事項証明書」の原本が必要な場合はこちらを利用します。「登記・供託オンライン申請システム」の中にある「かんたん証明書請求」という機能を使います。以前は専用ソフトのインストールが必要で非常に煩雑でしたが、現在はブラウザだけで完結するようになり、利便性が向上しています。1. 利用の準備 必要なもの: インターネットバンキング(Pay-easy対応)またはATMで支払う現金利用可能時間: 平日 午前8時30分〜午後9時(※土日祝は利用不可)2. 具体的な操作ステップ STEP1:申請者IDの登録 「登記・供託オンライン申請システム」(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/)にアクセスし、「申請者情報の登録」を行います。IDとパスワードを決め、住所氏名を登録します。これが郵送先の住所になります。STEP2:ログインと機能選択 ログイン後、「かんたん証明書請求」を選択します。STEP3:物件・会社の検索 パターンAと同様に、不動産なら「地番」、会社なら「商号・本店」で対象を検索し、特定します。STEP4:請求情報の入力 通数: 必要な枚数を入力します。郵送方法: 「普通郵便」か「速達」かを選べます。納付方法: 電子納付(Pay-easy)を選択します。STEP5:送信と手数料納付 申請データを送信すると、「納付情報」のボタンが押せるようになります(数分かかる場合があります)。ここから収納機関番号などを取得し、ネットバンキングやATMで手数料を支払います。手数料: 1通あたり480円(窓口は600円なのでお得です!)STEP6:到着を待つ 納付が確認されると、法務局で証明書が発行され、登録した住所へ郵送されます。通常、納付から2〜3日程度(普通郵便の場合)で手元に届きます。第4章:最大の落とし穴!「住居表示」と「地番」の違いを知ろう オンライン請求で最も多くの人がつまずくのが、不動産を検索する際の**「住所(住居表示)」と「地番」の違い**です。住居表示(じゅうきょひょうじ): 私たちが普段使っている住所です。(例:東京都千代田区霞が関1丁目1番1号) これは「建物の場所」を郵便屋さんなどが分かりやすくするための番号です。地番(ちばん): 法務局が土地を管理するために振った番号です。(例:東京都千代田区霞が関一丁目1番1) 登記簿は、この「地番」で管理されています。多くの都市部では、住居表示と地番が異なります。「普段の住所を入力してもエラーが出て検索できない!」という場合、ほぼ間違いなくこの違いが原因です。「地番」を調べる3つの方法 ネットで登記簿を取る前に、以下のいずれかの方法で正確な地番を調べておく必要があります。1. 「登記情報提供サービス」内の「地番検索サービス」を使う(無料) 実は、第2章で紹介した「登記情報提供サービス」の中に、無料で地番を検索できる機能(ブルーマップの電子版のようなもの)があります。 ログイン後、左メニューの「地番検索サービス」をクリックし、地図上で該当の建物をクリックすると、正しい「地番」が表示されます。これが最も手軽で確実な方法です。2. 権利証(登記済証・登記識別情報)を見る 手元に不動産の権利証がある場合、そこには必ず「地番」が記載されています。3. 管轄の法務局に電話する 「〇〇区〇〇町1-2-3の地番を教えてください」と法務局の「地番照会係」に電話すれば、無料で教えてくれます。第5章:登記簿謄本(登記事項証明書)の種類と読み方 せっかく取得した登記簿も、内容が理解できなければ意味がありません。ここでは基本的な構成と種類を解説します。1. 謄本の種類 オンラインで請求する際、いくつか種類を選ぶことになりますが、基本的には以下を覚えておけばOKです。全部事項証明書(謄本): 過去から現在までのすべての記録が記載されています。通常はこれを選びます。現在事項証明書(抄本): 現在の効力がある情報のみが記載されています。過去の履歴(抹消された抵当権など)は載っていません。閉鎖事項証明書: 合筆や滅失などで閉鎖された過去の登記簿です。2. 登記簿の構成(不動産の場合) 登記簿は大きく3つのパート(部)に分かれています。① 表題部(ひょうだいぶ) 「その不動産がどこにあり、どんなものか」という物理的現況が書かれています。土地:所在、地番、地目(宅地、畑など)、地積(面積)建物:所在、家屋番号、種類(居宅、店舗など)、構造、床面積② 権利部(甲区)(こうく) 「所有者は誰か」という所有権に関する事項が書かれています。いつ、誰が、どんな原因(売買、相続など)で所有者になったかが分かります。一番下の人が現在の所有者です。「差押」などの記載がある場合は要注意です。③ 権利部(乙区)(おつく) 「所有権以外の権利」について書かれています。主に「借金(担保)」の情報です。抵当権・根抵当権: 住宅ローンなどを組んだ際に金融機関が設定します。この欄に記載があり、かつ抹消されていない場合、その不動産は借金のカタに入っていることを意味します。第6章:法人の登記簿(履歴事項全部証明書)について ビジネスの場面では、取引先の信用調査などで法人の登記簿を取得することも多いでしょう。法人登記簿で分かること 商号・本店: 正式名称と住所目的: 何をビジネスにしている会社か役員に関する事項: 誰が代表取締役で、誰が役員か、任期はいつか資本金の額: 会社の規模感会社成立の年月日: 業歴の長さオンライン取得のメリット(法人編) 法人の場合、代表者の自宅住所なども登記簿に記載されているため、訴訟の際の送達先確認などにも利用されます。また、新規取引を開始する際、相手が実在する会社か、怪しい変更登記(短期間での頻繁な本店移転や役員変更など)がないかを確認する「与信管理」の基本資料として、オンライン取得は非常に有効です。第7章:よくあるトラブルとQ&A オンライン取得にまつわる、よくある質問とトラブルシューティングをまとめました。Q1. マンションの部屋番号で検索しても出てこないのですが? A. 「敷地権付き区分建物」としての検索が必要です。 マンションの場合、建物名は分かっていても「家屋番号」は部屋番号と異なることがよくあります(例:201号室の家屋番号が「10-201」など)。地番検索サービスでマンション名から家屋番号を特定するか、法務局に電話して「家屋番号」を聞くのが確実です。Q2. 申請者IDやパスワードを忘れました。 A. 「かんたん証明書請求」の場合、再登録が必要です。 セキュリティの関係上、IDの問い合わせはできません。新しいメールアドレスを使って再度ID登録を行ってください。Q3. 領収書は発行されますか? A. 領収書という形では発行されません。 オンライン申請の場合、公的な領収書は発行されません。その代わり、Pay-easyの払込明細書や、クレジットカードの利用明細書が経費精算の証憑(しょうひょう)となります。会社の経理ルールによっては、「照会結果画面」のプリントアウトなどを添付する必要があるかもしれません。Q4. 土日に申請して、月曜日の朝イチで受け取りたい。 A. 「登記・供託オンライン申請システム」は平日のみ稼働です。 土日祝日はシステムの稼働時間外のため、申請データの送信自体ができません(※登記情報提供サービスの一時利用のみ、土日も閲覧可能です)。月曜日の朝8時30分以降に申請操作を行う必要があります。Q5. Macでも利用できますか? A. はい、利用できます。 以前はWindowsかつInternet Explorer必須という厳しい環境でしたが、現在はChromeやSafariなどのモダンブラウザに対応しており、Macでもスマートフォンでも問題なく利用可能です。第8章:まとめ ~オンライン取得を使いこなそう~ 登記簿謄本(登記事項証明書)のオンライン取得は、一度慣れてしまえば、もう二度と窓口に並びたくなくなるほど便利で経済的です。最後に、もう一度ポイントを整理しましょう。目的を確認する「見るだけ」なら 「登記情報提供サービス」(PDF、331円)「提出する」なら 「かんたん証明書請求」(郵送、480円)地番を調べる住所(住居表示)と地番は違う!地番検索サービスや法務局への電話で、正しい地番・家屋番号を特定してから検索する。環境を整える平日の稼働時間内にアクセスする。クレジットカードやネットバンキングを用意する。ビジネスのスピードアップのためにも、また個人の資産管理のためにも、ぜひこのオンライン取得テクニックをマスターしてください。わざわざ法務局へ行く移動時間と待ち時間、そして手数料の差額。これらを積み重ねれば、年間で大きなコスト削減と効率化につながるはずです。 前の記事へ 次の記事へ